特定遊興飲食店営業の許可を申請をする際に、そもそも特定遊興飲食店営業許可が必要な業態なのかどうかの判断は、難しいかと思います。
今回は、その中でも「客に遊興をさせる」ことについて焦点をあてて、解説していきたいと思います。
客に遊興をさせるとは
「客に遊興させる」について
「客に遊興をさせる」とは、文字どおり遊び興じさせることです。しかし、特定遊興飲食店営業として規制対象となるのは、営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせることです。
客に遊興をさせるためのサービスとしては、主として、ショーや演奏の類を客に見聴きさせる鑑賞型のサービスと、客に遊戯、ゲーム等を行わせる参加型のサービスが考えられます。
鑑賞型サービス
鑑賞型のサービスについては、ショー等を鑑賞するよう客に勧める行為、実演者が客の反応に対応し得る状態で演奏・演技を行う行為等は、積極的な行為に当たります。
これに対して、単にテレビの映像や録音された音楽を流すような場合は、積極的な行為には当たりません。
参加型サービス
参加型のサービスについては、遊戯等を行うよう客に勧める行為、遊戯等を盛り上げるための言動や演出を行う行為等は、積極的な行為に当たります。
これに対して、客が自ら遊戯を希望した場合に限ってこれを行わせるとともに、客の遊戯に対して営業者側が何らの反応も行わないような場合は、積極的な行為には当たりません。
「客に遊興をさせる」の具体例について(該当するかの違い)
次は、「遊興をさせる」ことについての具体例を挙げて判断しやすいように場合分けをして考えていきます。
「客に遊興をさせる」に当てはまる例
「客に遊興をさせる」に該当する例は次のような場合です。
①不特定の客にショー、ダンス、演芸その他の興行等を見せる行為
②不特定の客に歌手がその場で歌う歌、バンドの生演奏等を聴かせる行為
③客にダンスをさせる場所を設けるとともに、音楽や照明の演出等を行い、不特定の客にダンスをさせる行為
④のど自慢大会等の遊戯、ゲーム、競技等に不特定の客を参加させる行為
⑤カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客に歌うことを勧奨し、不特定の客の歌を褒めはやす行為
⑥バー等でスポーツ等の映像を不特定の客に見せるとともに、客に呼び掛けて応援等に参加させる行為
「客に遊興をさせる」に当てはまらない例
①いわゆるカラオケボックスで不特定の客にカラオケ装置を使用させる行為
②カラオケ装置を設けるとともに、不特定の客が自分から歌うことを要望した場合に、マイクや歌詞カードを手渡し、又はカラオケ装置を作動させる行為
③いわゆるガールズバー、メイドカフェ等で、客にショーを見せたりゲーム大会に客を参加させたりせずに、単に飲食物の提供のみを行う行為
④ボウリングやビリヤードの設備を設けてこれを不特定の客に自由に使用させる行為
⑤バー等でスポーツ等の映像を単に不特定の客に見せる行為(客自身が応援等を行う場合を含む)
まとめ
「客に遊興をさせる」ことについて、定義がやや難しい部分もあるかと思います。
簡単に判断する指標として営業者側が積極的に楽しませようとしているか。そして、客自身の行動かどうかを判断する際の指標として状況に当てはめていけば、大枠としては判断できるのではないかと思います。
本記事の執筆者:行政書士事務所リーガルネイビー